愛犬・愛猫へのマイクロチップ装着義務化:地域条例と飼育者の責任
「うちの子と地域ルール」をご利用の皆様、いつもありがとうございます。この度は、近年特に注目を集めている「愛犬・愛猫へのマイクロチップ装着義務化」について、その詳細と地域ごとの関連ルール、そして飼育者の皆様に求められる責任について解説いたします。
マイクロチップ装着義務化の背景と目的
2022年6月1日より、「動物の愛護及び管理に関する法律」(通称:動物愛護管理法)が改正され、ブリーダーやペットショップなどの販売業者に対して、犬や猫へのマイクロチップ装着と登録が義務付けられました。これは、動物の愛護と適正な飼育を推進するための重要な一歩です。
この義務化の主な目的は以下の通りです。
- 迷子動物の早期返還促進: 装着されたマイクロチップを読み取ることで、迷子になったペットの飼い主情報を迅速に特定し、返還につなげることが可能になります。
- 遺棄・虐待の防止: 飼い主情報が紐付けられることで、無責任な遺棄や虐待行為の抑止効果が期待されます。
- 災害時の身元確認: 地震や水害などの災害発生時、ペットが飼い主と離れてしまった場合でも、身元確認の手段として役立ちます。
すでに飼育されている犬や猫については、現時点では努力義務とされていますが、マイクロチップの装着と登録が強く推奨されています。
マイクロチップとは何か、その安全性について
マイクロチップは、直径約2mm、長さ約8〜12mmの円筒形の電子標識器具です。このチップには15桁の個体識別番号が記録されており、専用のリーダーをかざすことで読み取ることができます。獣医師によって、犬や猫の首の後ろの皮下に注射器で挿入されます。
安全性については、世界中で長年にわたり使用されており、動物への悪影響は極めて少ないとされています。一度装着すれば、電池交換などのメンテナンスは不要で、半永久的に使用可能です。
国の法律と地域ごとの条例:異なる対応の可能性
マイクロチップの装着義務化は国の法律に基づくものですが、各地方自治体は、その地域の特性や状況に応じて独自の条例を定め、追加的な規定を設ける場合があります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 登録費用の一部助成: 一部の自治体では、マイクロチップの装着・登録にかかる費用を助成する制度を設けている場合があります。これにより、飼い主の経済的負担を軽減し、普及を促進しています。
- 譲渡時の義務化の強化: 保護施設からの譲渡や、個人間での譲渡に際して、マイクロチップの装着・登録を義務付ける独自の規定を設けている自治体も存在します。
- 啓発活動の強化: 特定の地域では、マイクロチップの重要性について、より積極的に住民への周知活動を行っていることがあります。
お住まいの自治体がどのような独自のルールや支援策を講じているかについては、各自治体の動物愛護担当部署や保健所のウェブサイトなどで確認することが重要です。
多頭飼育と高齢ペットにおける注意点
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多頭飼育の場合: 複数の犬や猫を飼育されている場合、販売業者から迎え入れた対象動物全てにマイクロチップの装着と登録が必要です。また、すでに飼育されている動物についても、全ての個体への装着が推奨されます。各個体の登録情報が正確に管理されているか、定期的に確認する習慣を身につけることが肝要です。
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高齢ペットの場合: 高齢のペットにマイクロチップを装着する際には、動物病院で獣医師と十分に相談することが推奨されます。特に麻酔を伴う処置が必要な場合、高齢動物への負担を考慮し、獣医師の判断を仰ぐことが重要です。また、すでにマイクロチップが装着されている高齢ペットの場合でも、登録情報が現在の飼い主情報と一致しているか、住所や連絡先に変更がないかなどを確認し、必要に応じて更新手続きを行う必要があります。
装着と登録の手続き、そして飼育者の責任
マイクロチップの装着は、必ず獣医師によって行われます。装着後、飼い主は指定登録機関(例えば、公益社団法人日本獣医師会)に対して、自身の情報とペットのマイクロチップ識別番号を紐付けて登録する手続きが必要です。
登録した情報に変更が生じた場合(例えば、引っ越しによる住所変更、連絡先の変更、飼い主の変更など)は、速やかに登録機関に届け出て、情報を更新する義務があります。この手続きを怠ると、万が一の際にペットの身元確認ができない恐れがあります。
マイクロチップ装着義務化は、単なる手続きではなく、ペットの命と安全を守り、地域社会の一員として責任ある飼育を行うための飼い主としての責務を明確にするものです。
まとめ
愛犬・愛猫へのマイクロチップ装着義務化は、ペットと地域社会のより良い共生を実現するための重要な制度です。国の法律が基本となりますが、地域ごとの条例によっては追加の規定や支援策が設けられている場合があります。
全ての飼い主の皆様には、この制度を正しく理解し、ご自身のペットについて適切な対応を行うことが求められます。ご不明な点があれば、お住まいの自治体の動物愛護担当部署や、かかりつけの獣医師に相談されることをお勧めいたします。